執筆: Jin Fujisaki / 公開: 2026-02-19
最初に断っておかなければなりません。この「CMF Phone Mini」は、Nothing公式が発表した製品ではありません。 デザイナーのPreet Ajmeri氏がコミュニティに投稿した、いわば「ファンアート」です。 しかし、このコンセプト画像が公開されるやいなや、RedditやNothing公式フォーラムは騒然となりました。
「これが出たら絶対に買う」「俺たちが欲しかったのはまさにこれだ」という声が殺到したのです。 なぜここまで人々の心を打ったのか。 それは、市場から完全に絶滅しつつある「片手で完全に操作できるコンパクトなハイエンド(またはミドルレンジ)スマホ」というニッチな需要を、CMFの持つポップで無骨なデザイン言語と完璧に融合させていたからです。
| iPhone 13 Miniサイズに詰め込んだインダストリアルデザイン

image Reddit
コンセプトで描かれているのは、5.4インチ〜5.8インチ程度(iPhone 13 Miniと同等)の非常にコンパクトな筐体です。 最近の「6.1インチでもMiniと呼ぶ」ような風潮に真っ向から反逆する、真のコンパクトサイズ。
その小さな背面に、CMF Phone 1で世界を驚かせた「露出したマイナスネジ」と、ストラップやアクセサリーを取り付けるための「ダイヤル(ノブ)」が美しく配置されています。 カメラはマクロなどの不要なレンズを削ぎ落とした、潔いデュアルレンズ構成。 「小さな道具箱」のようなギッシリ感と、メカニカルな手触りが画面越しにも伝わってきます。 ツルツルとしたガラス張りの巨大スマホに飽き飽きしている層にとって、この「道具感」はたまりません。
| 1970年代の「ブラウン」を彷彿とさせるレトロカラー
image Nothing Community
このコンセプトを単なる「縮小版」から「アート」に昇華させているのが、そのカラーリングです。 CMF公式の鮮やかなオレンジも良いですが、Ajmeri氏が提案したカラーはより成熟しています。 特に注目を集めたのが「ブラウン&クリーム」のツートンカラーです。
1970年代にディーター・ラムスがデザインした「Braun(ブラウン)」の家電や、ヴィンテージのカメラを彷彿とさせる、レトロフューチャーな色合い。 それに「セージグリーン」や「スレートブルー」といった、ミリタリーライクなマットカラーが加わります。 プラスチック(ポリカーボネート)という安価な素材を、塗装とテクスチャの工夫で「高級な嗜好品」に魅せる。 これこそがCMFブランドの本質であり、このコンセプトはその哲学を完璧に理解しています。
| モジュール性がもたらす「バッテリー交換」の夢

image WIRED
ファンたちがこのコンセプトで盛り上がったもう一つの理由が、「モジュール性」への期待です。 小型スマホ最大の弱点は「バッテリーの持ちが悪い」ことですが、CMF特有の「背面パネルをネジで外せる」構造を利用すれば、自分でバッテリーを簡単に交換できるのではないかという議論が交わされました。
あるいは、MagSafeのようなマグネットではなく、物理的なダイヤル部分に「外付けの小型バッテリーパック」をガッチリとネジ止めする拡張アイデアなど、コミュニティの妄想は膨らむばかりです。 「完成された一つの板」ではなく、「ユーザーがいじって完成させるガジェット」。 そのDIY精神が、オタクたちの遊び心を刺激してやみません。
| まとめ:メーカーよ、この声を聞いてくれ

image グッドデザイン賞
繰り返しますが、これはあくまでコンセプトであり、現在のところ製品化の予定はありません。 利益率が低く、一部の声が大きくても実際には売れないと言われる「小型スマホ市場」に、メーカーが再び参入するのは非常にハードルが高いのが現実です。
しかし、この「CMF Phone Mini Concept」に寄せられた数千件の「いいね」と熱狂的なコメントは、確実に一つの真実を示しています。 「本当に良いデザインの小型スマホなら、欲しい人は世界中に山ほどいる」。 いつかカール・ペイCEOがこの声に応え、私たちを驚かせてくれる日が来ることを、今はただ願うばかりです。



