執筆: Jin Fujisaki / 公開: 2026-02-13
高価な一眼レフカメラやドローン、あるいは重要なデータが入ったハードディスク。 これらを旅先に持って行くとき、あなたの心拍数は少し上がっていませんか? 「落としたらどうしよう」「雨に濡れたら終わりだ」。
そんな不安を物理的にシャットアウトするのが、1976年にアメリカ・カリフォルニアで生まれた「PELICAN(ペリカン)」のハードケースです。 米軍、警察、消防、そして世界中のプロカメラマンが愛用するこの箱は、単なる収納ケースではありません。 中身をあらゆる災害から守り抜く、移動式の「金庫」であり「要塞」なのです。
| 車に轢かれても、水深1mに沈めても平気

image アルミーファイブエンジニアリング
ペリカンケースの凄みは、その常軌を逸した耐久テストにあります。 「車で踏みつける」「ショットガンで撃つ」「北極の氷点下に晒す」。 これらすべてをクリアし、なおかつ中身を守り抜くタフネスさを誇ります。
防水性能も完璧で、水深1mに30分間沈めても内部への浸水はありません(IP67規格)。 たとえカヌーで川下りをして転覆しても、泥水の中に落としても、中に入れたカメラやPCは無傷です。 「ケースが壊れるかもしれない」という心配よりも、「中身が無事かどうか」だけを考えればいい。 この安心感は、過酷な現場において何よりも代えがたいものです。
| 飛行機に乗せても、気圧で開かなくならない

image PELICAN
飛行機で移動した際、気圧の変化で密閉容器が開かなくなったり、変形したりした経験はありませんか? ペリカンケースには、「自動気圧調整バルブ」という小さな弁がついています。
これは、水や埃の侵入は防ぎつつ、空気だけを通すゴアテックスのような素材で作られており、ケース内外の気圧差を自動的に解消してくれます。 そのため、上空1万メートルのフライトを終えて空港についても、地上と同じようにスムーズにロックを解除し、蓋を開けることができます。 科学の力で、物理的なストレスをゼロにする。 プロの道具らしい配慮です。
| ウレタンを「ちぎる」快感。自分だけの形を作る
image Amazon
ペリカンケースを購入すると、中はスポンジ(ウレタンフォーム)で埋め尽くされています。 このスポンジには格子状の切れ込みが入っており、手でプチプチとちぎることができます。
収納したいカメラやレンズの形に合わせて、パズルのようにスポンジをくり抜いていく。 この作業が、男心を強烈にくすぐります。 ピッタリと収まった時の「シンデレラフィット」感は格別です。 機材の配置を考え、自分だけのレイアウトを作る時間は、旅の準備の中で最も楽しいひとときかもしれません。
| 「1510」が、旅人の最適解である理由
image Goods Press
数あるサイズの中で、最も人気なのが「1510」というモデルです。 理由は単純明快。 多くの航空会社で「機内持ち込みが可能な最大サイズ」だからです。
頑丈なキャスター(ホイール)と、伸縮するハンドルがついており、空港のロビーをキャリーバッグのようにスムーズに移動できます。 大切な機材を預け荷物にして投げられるリスクを避け、常に手元に置いておける。 世界中のフォトグラファーが、空港でこの黒い箱を転がしているのには、明確な理由があるのです。
| まとめ:一生壊れない箱に、何を入れますか?
image YUYA MORIWAKI
価格はウレタン付きで40,000円〜50,000円程度。 ただの箱にしては高価ですが、ペリカンには「永久保証」がついています。 「You break it, we replace it... forever.(あなたが壊したら、私たちが交換します…永久に)」。
内容はどうあれ、ケースが壊れたら無償で交換してくれる(※ゴムパーツやウレタンを除く)。 サメに噛まれても、熊に襲われても保証するという伝説を持つこのメーカーの姿勢は、製品への絶対的な自信の裏返しです。 あなたの人生で、これほど頼りになる相棒は他にいないかもしれません。 さあ、この無骨な箱に、あなたは何を詰めて旅に出ますか?


