執筆: Jin Fujisaki / 公開: 2026-02-12
キャンプの夜、ただ明るければいいのであれば、LEDランタンに勝るものはありません。 スイッチを入れれば一瞬で点灯し、熱くもならず、電池が切れるまで光り続けます。 しかし、そこには決定的に欠けているものがあります。 それは「火を操っている」という感覚です。
1901年にアメリカで創業したColeman(コールマン)の「ワンマントルランタン 286A」は、100年以上基本的な構造を変えていません。 燃料はホワイトガソリン。 点火するには、ポンピング(加圧)という儀式が必要です。 面倒くさい? ええ、最高に面倒くさいです。 だからこそ、愛おしいのです。
| 「シュコシュコ」と空気を送る、点火の儀式

image コールマン公式
このランタンを点けるためには、まずタンク内の圧力を高める必要があります。 ポンプノブを親指で押さえ、「シュコ、シュコ」と数十回、固くなるまで押し込みます。 この作業によって、燃料が霧状に噴出する準備が整います。
そして、マントル(発光体)に火を近づけ、バルブを少しずつ開く。 「ボッ!」という音と共に火が灯り、やがて安定した光へと変わっていく。 この一連の流れは、単なる作業ではなく、夜を迎えるための心の準備です。 手間をかければかけるほど、その明かりは愛着のあるものになります。
| 「シュー」という燃焼音は、最高のBGM
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LEDランタンは無音です。 しかし、ガソリンランタンは燃焼中、常に「シュー」という音(燃焼音)を立て続けます。 これをうるさいと感じる人もいるかもしれません。
しかし、静寂な森の中で聞くこの音は、不思議と心を落ち着かせる「ホワイトノイズ」になります。 焚き火のパチパチという音と、ランタンのシューという音。 それらが重なり合った時、あなたは孤独ではなく、道具と共に夜を過ごしていることを実感します。 会話が途切れても、この音が間を埋めてくれる。 そんな優しさがあります。
| 130W相当。直視できないほどの爆光

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レトロな見た目に反して、その明るさは強烈です。 286Aは「ワンマントル(発光体が一つ)」ですが、約130W相当の大光量を誇ります。 メインランタンとしてサイト全体を照らすのに十分すぎる明るさです。
しかも、その光はLEDのような冷たい白さではなく、暖かみのあるオレンジ色を含んでいます。 料理を美味しそうに見せ、肌の色を健康的に見せる。 自然の中で過ごす夜に、これほど適した光の色はありません。
| 「バースデーランタン」を探す旅
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コールマンのランタンは、タンクの底に製造年と月が刻印されています。 「12 95」なら、1995年12月製造という意味です。 構造が単純で頑丈なため、中古市場には数十年、時には50年以上前のランタンがゴロゴロしています。
そのため、自分と同じ年月(あるいは子供の誕生年月)に製造された「バースデーランタン」を探し出し、修理して使うという文化があります。 自分と同い年のランタンが、今も現役で強い光を放っている。 それをメンテナンスしながら使い続けることは、人生の時間を慈しむことと同義です。
| まとめ:不便を買う、という贅沢

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価格は新品で17,000円〜20,000円程度。 燃料代もかかりますし、マントル(発光体)は壊れやすく、定期的な交換が必要です。 ポンピングも疲れます。
でも、考えてみてください。 便利な生活から逃れるためにキャンプに来ているのに、なぜ照明だけ便利なものを使うのでしょうか? 不便さを楽しむ。手間をかける時間を買う。 コールマンのランタンは、そんな大人の遊び心を教えてくれる、最高の遊び道具です。


