積み木というと、平らな地面に城や電車を組み立てるものだと思っていた。だがスイス生まれの木製パズル「cuboro(キュボロ)」は違う。積み上げるのはかたちではなく、道だ。5センチ四方の木の立方体それぞれに溝やトンネルが彫られていて、正しく組み合わせるとビー玉が上から下まで転がり落ちていく一本の道になる。
将棋の藤井聡太が3歳のとき祖母からクリスマスプレゼントとしてもらい、幼少期に夢中で遊んでいたという逸話でも知られるようになった玩具だ。積み木としては見た目も地味で、パッケージにも派手さはない。それでも一度触ると手が止まらなくなる理由は、遊び方の自由度の高さにある。
見えない道をつくる、という遊び
キュボロの基本セットである「スタンダード」は、54個の木製ブロックと5個のビー玉で構成されている。対象年齢はおよそ5〜6歳からとされているが、実際に手を動かしてみると、大人でも十分に頭を使わされる。
ブロックの表面からは中の溝が見えない。完成形を先に頭の中で組み立ててから積む必要がある玩具だ。
ビー玉を転がすゴールから逆算して、どのブロックをどう向けて積むかを考える。1段組んで満足いく道ができたと思っても、2段目に進んだ瞬間につながらなくなる。やり直しては、また積む。この「試して、崩して、また試す」の繰り返しが、平面のパズルにはない立体的な思考力を鍛えると言われている。

素材と作りの丁寧さ
- スイス産の木材を使用し、角の処理や重量感にこだわった質実剛健な作り
- 長く使える耐久性で、世代を超えて受け継がれる家庭も多い
- ブロック単体でも追加購入でき、拡張しながら遊びの幅を広げられる
「考える力」が育つ、という評判の理由
キュボロが知育玩具として語られるとき、よく挙げられるのが空間認識力や論理的思考力への効果だ。決まった正解が1つではなく、同じゴールに向かう道筋が何通りも存在するのも特徴で、試行錯誤そのものを楽しめる設計になっている。
もちろん、キュボロで遊んだからといって誰もが藤井聡太のようになれるわけではない。ただ、答えを教わるのではなく自分で組み立てて確かめるという体験は、大人になってからもなかなか味わえない時間だ。休日にひとつのゴールを目指して黙々とブロックを積む――そんな静かな没頭も、忙しい日常の中では贅沢なひとときになる。
木のブロックを積みながら頭を整理する時間は、THE YADOMで香りを切り替えて気分をリセットする時間とどこか似ている。手を動かし、集中し、ふと我に返る。そんな小さな没頭のきっかけを、道具から見つけてみるのもいい。




